ブログ
ありがとう、そしてさようなら修士生活。〜平林研のすゝめ〜

こんにちは。こんばんは。
このたび平林研究室を卒業しました、上野大地と申します。
2025年3月24日、本郷キャンパスにて卒業式が行われた後、午後は柏キャンパスにて私たちが所属する専攻(海洋技術環境学専攻)の修了式が行われました。
振り返れば、あっという間の2年間でした。平林先生をはじめ、研究室の同期や後輩たちからは本当にたくさんの刺激を受け、毎日が新鮮で、とても充実した研究生活を送ることができました。感謝の気持ちを込めて、ここでは私が過ごした平林研究室の概要と、その魅力について簡単にご紹介させていただきます。
平林研究室について
平林研究室は、船舶海洋工学(Ocean Engineering)の中でも、「浮体」に関する研究を得意とする研究室です。波、海潮流、風など、自然環境から生じる流体力を評価し、浮体応答解析を行うことで、安全性向上や実用化に向けた研究に貢献しています。
近年では再生可能エネルギー分野で注目されている「浮体式洋上風車(FOWT)」の研究が活発に行われています。
平林研の強み
誠に勝手ながら、私が研究生活で感じた研究室の強みについて列挙させて頂きます。
①充実した研究環境と設備
②豊富な研究実績
③海洋開発企業やプロジェクトとの強い連携
① 充実した研究環境と設備
最初に驚いたのは、その研究環境の充実度でした。
本研究室が所属する専攻は、学生一人あたりの指導教員の割合が高く、先生との距離が非常に近いのが特徴です。少人数体制のおかげで、研究の悩みや疑問点も気軽に相談することができます。
毎週行われる研究室内ゼミも研究の要であり、進捗報告だけでなく、研究の方向性について建設的な議論を行う貴重な場となっています。
平林紳一郎先生は、そのお名前の通り本当に「紳士的」な方で、誰に対しても親身に対応してくださり、研究が行き詰まったときには必ず新たな視点を与えてくださいました。
また、研究設備も非常に整っており、水槽実験用の装置のほか、計算機や数値解析ソフトも多数揃っています。以下は、実際に使用しているソフトの一部です:
・OpenFOAM
・Fluent
・Ansys AQWA
・WAMIT
・OrcaFlex
本研究室では、水槽実験や数値シミュレーションを通じて、理論と実験の両面から研究を進めることができます。
② 豊富な研究実績
平林研究室には、長年にわたって積み重ねられてきた研究の蓄積があります。特にVIM(Vortex-Induced Motion)に関する基礎研究では、これまで多くの先輩方が取り組んできた成果があり、それを土台として自分の研究を構築することができました。
また、研究テーマの幅広さも特徴で、基礎研究から応用研究まで、学生の関心や専門性に合わせて柔軟に取り組める環境があります。先行研究や過去のデータが豊富に残されているため、研究のスタートがスムーズで、質の高い成果につながりやすい環境が整っていると感じました。
③ 海洋開発企業やプロジェクトとの強い連携
平林研のもう一つの大きな強みは、企業や国家プロジェクトと密に連携していることです。
企業との共同研究が盛んに行われており、実際の現場からのご意見やニーズを取り入れたリアルな課題に取り組むことができます。こうした交流は、新たな人脈づくりにもつながり、今後のキャリアにも大きく役立つと感じました。
さらに、平林先生ご自身も、NEDOなどの国家プロジェクトに積極的に関わっておられます。
ガイドラインの策定や各種委員会での調査活動にも参加されており、アカデミアの立場にとどまらず、実社会への応用を見据えた取り組みを続けておられます。
研究を「学問」として深めるだけでなく、社会に還元することの重要性を、先生の姿勢から学ぶことができました。
さいごに
私が思う、唯一の(?)課題を挙げるとするならば…なぜか毎年メンズが集まりがちな研究室であるということです(笑)
浮体応答や流体力学といった研究テーマが、やや硬派でマニアックな印象を与えてしまうのかもしれません。また海をフィールドとしており、一般社会とは隔絶された事象物象を研究対象としているため、イメージが沸きにくいといったこともあるかと思います。しかし、海洋工学は「総合工学」とも呼ばれ、多様な知識や経験を横断的に活かせる分野です。社会実装に向けては、法律や経済、地域社会の理解も求められ、さまざまなバックグラウンドを持つ人々との議論によって、より良い成果につながっていくと私は考えています。
私自身、学部時代は異なる分野の研究を行っており、水槽実験や数値解析も初めての経験でした。しかし、試行錯誤を繰り返す中で一つひとつ乗り越え、貴重な経験と自信を得ることができました。
平林研は、どんな経歴を持つ学生に対しても門戸を開いてくれる研究室です。もし少しでも興味を持った方がいれば、ぜひ先生にご連絡を取ってみてください(メールアドレスは研究室HPに掲載されています)。
平林研のますますの発展を願い、結びの言葉とさせていただきます。
2年間、本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
2025年3月31日
東京大学院海洋技術環境学専攻
平林研究室 修士課程修了
上野大地